領域について

 神経細胞という不安定なバイオ素子に基づいて構成されながら、生物の脳は自己組織的に、そして高いエネルギー効率で高度な情報処理を実現します。この特性は単一の細胞では現れず、その単純な多数倍としても説明できません。多種多様な神経細胞が精密に配置・配線されて、マルチセルラ(多細胞)ネットワークを構成することにより、脳的機能ははじめて創発されます。

 本研究領域では、脳神経マルチセルラネットワーク上での情報表現・情報処理をモデル動物脳の直接計測(トップダウン)と培養神経回路の操作的解析(ボトムアップ)の双方向から解析し、さらに数理モデルとして記述することを目指す学問領域を立ち上げます。具体的な情報処理として、脳神経系の最も原始的機能である感覚運動制御に焦点をあてて、バイオ素子(細胞)の集団的振る舞いとシステム(脳神経系)としての機能との関係を記述する新たな情報処理モデル「マルチセルラバイオコンピューティングモデル」の構築をめざします。 マルチセルラ系における操作型研究と生体脳解析を統合する枠組みは今までにないものであり、計算効率が高く、そして頑健性・柔軟性を持つ生物規範的な新しい情報処理理論の創成へと結びつけることを目指します。

領域概要PDF(文部科学省HP)

 領域代表 山本 英明(東北大学)

本領域の目的

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