バイオ超越 - 脳神経マルチセルラバイオ計算の理解とバイオ超越への挑戦

文部科学省 科学研究費助成事業 「学術変革領域研究(A)」 2024〜2029年度

活動報告

2024年

国際会議NOLTA2024で国際合同特別セッションと第3回領域会議を開催しました。

2024.12.06

Canada-Japan Joint Session on Multicellular Neurobiocomputing

 12月2~6日にベトナム・ハロン湾にて開催された国際会議NOLTA2024にて、カルガリー大学Hotchkiss脳科学研究所(カナダ)と連携して特別セッション「Canada-Japan Joint Session on Multicellular Neurobiocomputing」を実施しました。
 領域から5件、カルガリー大学から4件の発表があり、神経回路網の数理モデル(Prof. Nicola、A01香取研M2石川)、神経データ解析(Prof. Towlson、Dr. Murray、A01松井研D1河本)、培養神経回路(A02山本、A02住)、神経生理学(Dr. Culp、A04平田)など、領域がカバーする幅広い分野における最新のデータや実験・解析技術などについてディスカッションを行いました(プログラム参照)。

特別セッション「Canada-Japan Joint Session on Multicellular Neurobiocomputing」の様子

 NOLTA2024には他にもA02守谷、A01香取研の大学院生2名、A01加藤研の大学院生1名が口頭発表やポスター発表を行いました。この中で、現在は大阪大学大学院情報科学研究科に所属する中村くんが、A01香取研にて行った研究内容の発表についてBest Student Paper Awardを受賞しました。

国際会議NOLTA2024の様子
Program
Date & TimeTitle / Author
Thursday December 05, 2024 (15:10 – 16:40)Neuroengineering Technologies for Reconstituting Neuronal Network Functions In Vitro
Hideaki Yamamoto, Takuma Sumi, Ayumi Hirano-Iwata, Shigeo Sato
Synchronizing Chaotic RNNs with Oscillatory Inputs with Exact Closed Form Conditional Lyapunov Exponents
Jordan Culp, Wilten Nicola
Adaptive Predictive Motor Control by the Cerebellum
Yutaka Hirata, Yusuke Shinji, Toshimi Yamanaka, Shuntaro Miki
Identifying Behavioural Subnetworks from Neuronal Dynamics of the C. elegans Nervous System
Emma Towlson
Evaluation of Directional Functional Connectivity Based on Anatomical Connectivity and Visual Information Processing
Kenshirou Kawamoto, Nobuaki Monma, Yusuke Kobayashi, Kenji Hayashi, Hideaki Yamamoto, Teppei Matsui
Thursday December 05, 2024 (17:00 – 18:10)Analysis of Behavioral Data from Rodents with Continuous-Time Markov Models
Cayden Murray, Andrei S. Nastase, Wilten Nicola, Matthew N. Hill
Noise Reduction in Speech Recognition Using Predictive Coding and Reservoir Computing in Cultured Neuronal Networks in Spiking Neural Networks
Yoshitaka Ishikawa, Yuya Sato, Takuma Sumi, Hideyuki Kato, Hideaki Yamamoto, Yuichi Katori
A Markovian Neural Barcode Representing Mesoscale Cortical Spatiotemporal Dynamics
Jordan Culp, Donovan Ashby, Antis George, Cam Teskey, Wilten Nicola, Alexander McGirr
Role of Synaptic Plasticity and Modular Structure on Neuronal Network Recovery from Injury
Takuma Sumi, Akke Houben, Hideaki Yamamoto, Hideyuki Kato, Yuichi Katori, Hayato Chiba, Jordi Soriano, Ayumi Hirano-Iwata
領域会議

 学会の最終日には、この会議に参加した領域メンバーや研究室学生が集まってプチ領域会議を開催し、セッション中に話しきれなかったデータや、今後の共同研究の可能性などについて議論しました。アドバイザーの堀尾喜彦先生にもご参加いただき、それぞれの研究および領域全体の方向性についてご助言をいただきました。

第3回総括班会議を開催しました。

2024.11.29

 第3回総括班会議をオンラインで開催しました。今回は主に2月に開催するキックオフシンポジウムについて,プログラムや若手育成のための企画などについて話し合いました。
 また共通プラットフォーム拠点、国際連携、今後の領域イベントなどについての意見交換も行いました。

第4回領域セミナーを開催しました。

2024.11.19

 第4回領域セミナーとして、バルセロナ大学のGemma Marfany教授の講演会を開催しました。Marfany先生のご専門は遺伝学で、「Using 2D and 3D retinal organoids with CRISPR-Cas9 gene editing hiPSCs to model retinal diseases」というタイトルでご発表いただきました。遺伝性の網膜疾患に関するご研究について、ノックアウトマウスを使った研究の成果に加えて、ヒトiPS細胞由来ニューロンや網膜オルガノイドを使った疾患モデリングの最近研究についてご紹介いただきました。光受容細胞の外節部分がブラシのように生えたオルガノイドの顕微鏡写真は圧巻でした。また新薬開発の最近のトレンドとして、国によってはヒト細胞由来のオルガノイドで適切な実験が行われれば動物実験が省略できる場合もあるということも教えていただきました。専門外のメンバーや学生にも分かりやすくご発表いただき、質疑応答でもたくさんの質問が飛び交いました。

第3回領域セミナーを開催しました。

2024.10.30

 第3回領域セミナーとして、バルセロナ大学のAlbert Díaz-Guilera先生によるセミナーを開催しました。
Díaz-Guilera先生の専門であるネットワーク上における振動子の同期現象、とりわけ、蔵本モデルに関する話題について講演いただきました。

第2回領域セミナーを開催しました。

2024.10.28

 第2回領域セミナーとして,ミュンヘン工科大学のBernhard Wolfrum先生をお招きして講演会を開催しました。Wolfrum先生はバイオセンサやバイオエレクトロニクス分野の第一線で活躍されている研究者で、2017年には東北大学電気通信研究所に客員准教授として長期滞在された経験もあります。今回、別の学会で来日された機会を利用して,ご帰国前に東北大学にお立ち寄りいただきました。
 セミナーでは、「Needle electrode arrays for interfacing cortical organoids」というタイトルのもと、脳オルガノイドの深部計測を目的として開発された針型3次元電極(https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/admt.202400645)や、末梢神経を刺激するためのフレキシブル電極(https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/adma.202210206https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/anbr.202300102)について、最新のデータを交えて詳しく紹介していただきました。
 「領域セミナー」は毎回、領域外の研究者にも広く開放した形で実施しており、今回は現地参加とオンライン参加を合わせて約50名の研究者や学生が聴講しました。質疑応答の時間には、電極の作製や観察方法、さらには細胞計測技術に関して多くの質問が寄せられ、活発な議論が行われました。

西村(A03-1班分担)が京都市立近衛中学校PTAの家庭教育学級で出前授業を行いました。

2024.10.26

 西村(A03-1班分担)が京都市立近衛中学校PTAの家庭教育学級で、「iPS細胞を使った脳研究〜どんな細胞?何ができる?〜」というテーマで出前授業を行いました。小中学生とその保護者約20名が参加され、iPS細胞を使った最近の研究について紹介しました。

第1回モデル動物実験講習会を行いました。

2024.09.26

担当 :システム神経科学班A03-1 尾崎・正水
参加者:A01-1 保坂さん、加藤さん、A01-2 李さん(松井班)
日時 :2024年9月26日 13:00~18:00(懇親会 19:00~22:00)

 9月26日に、第1回モデル動物実験講習会を実施しました。講習会の最初に、尾崎がスライドを用いて、げっ歯類(マウス)の手術手技について解説しました。具体的には、headplate設置からアデノ随伴ウイルスベクターインジェクションまでの一連の手順を、動画を交えて説明しました。その後、実験室にて2光子顕微鏡システムおよび高速共焦点顕微鏡システムの概要を説明し、実際に動物を用いてデータ取得を行いました。

 次に、蛍光カルシウムイメージング用の解析ソフト「suite2p」の特徴と使い方について解説しました。講習の後半では、各参加者が自身のノートパソコンで取得データを使った解析を行い、JupyterLabやGoogle Colabなどを活用したsuite2pの便利な使用法についても情報を共有しました。講習会を通じて活発な情報交換が行われ、非常に有意義な会となりました。

<動画で説明した手術手技に用いるheadplateなどを手に取って観察>

<2光子顕微鏡システムの説明と神経細胞ファイバーと大脳皮質の2色同時蛍光カルシウムイメージングの様子>

<高速共焦点顕微鏡システムの説明とヒゲ感覚刺激時の大脳皮質の蛍光カルシウムイメージングの様子>

<懇親会>

山本(領域代表)が市立札幌清田高等学校で出張講演を行いました。

2024.08.29

 山本(領域代表)が市立札幌清田高等学校にて「工学xバイオx数学で拓く未来社会とSDGs」というタイトルで出張講演を行いました。培養細胞を使ったボトムアップ的な神経回路の研究や、持続可能社会の実現には様々な分野の専門家と協力することが重要であることを解説しました。講演は、同校の「SDGs x 探求人インタビュー」の授業の一環として行われました。1年生約35人が聴講し、AI技術との共存の仕方などについても質問が寄せられました。

松井(A01-2班代表)研究室にて第3回研究交流会を開催しました。

2024.08.14

 松井(A01-2班代表)が同志社大学で主催している「神経計算セミナー」を領域メンバーに向けてハイブリッド形式で配信し、第3回研究交流会を開催しました。今回は石川理子先生(慶応義塾大学)に「神経回路網における感覚情報処理:シナプス形成と拡散伝達の相互作用」という題目でご講演いただき、シナプスを介した情報伝達、およびシナプスを介さない情報伝達がどのように形成されるか、さらにその相互作用により、状況や分脈に依存した神経回路網による感覚情報処理がどのように実現されるか、最新の成果や今後の展望についてご紹介いただきました。

藤原(A01-1班分担)が複雑系科学とその学際応用に関する国際ワークショップをオーガナイズしました。

2024.08.09

 藤原(A01-1分担)が、中国・復旦大学のPeng Ji教授と合同で、国際ワークショップ“The International Workshop on Complex Systems and Their Interdisciplinary Applications”(8月5〜9日、東北大学)を主催しました。複雑系・ネットワーク科学・非線形科学の研究者が両国から集まり、5日間に渡ってそれぞれの研究内容や今後の共同研究の可能性などについて討議しました。領域からは、山本(領域代表)が招待講演を行い、門間(A02-1山本班 D1)が研究発表を行いました。

第2回総括班会議を開催しました。

2024.07.16

 第2回総括班会議を開催しました。オンラインでの開催となりましたが、計画班代表が集まり、今後の計画やイベントについて情報を共有しました。

松井(A01-2班代表)研究室にて第2回研究交流会を開催しました。

2024.07.03

 松井(A01-2班代表)が同志社大学で主催している「神経計算セミナー」を領域メンバーに向けてハイブリッド形式で配信し、第2回研究交流会を開催しました。今回は坂本浩隆先生(岡山大学)に「非シナプス的に行動適応をデザインする神経ホルモン」という題目でご講演いただき、哺乳類の交尾行動を非シナプス的に調節している神経メカニズムに関する研究成果についてご紹介いただきました。

第1回領域セミナーを開催しました。

2024.05.17

 第1回領域セミナーとして,カルガリー大学Hotchkiss Brain Institute所長のDavid Park先生によるセミナーを開催しました。
HBIで取り組まれている様々な脳科学研究や,Park先生が専門とされているパーキンソン病関連タンパク質LRRK2に関する最新の知見についてご紹介いただきました。

松井(A01-2班代表)研究室にて第1回研究交流会を開催しました。

2024.05.13

 松井(A01-2班代表)が同志社大学で主催している「神経計算セミナー」を領域メンバーに向けてハイブリッド形式で配信し、第1回研究交流会を開催しました。今回は根東覚先生(東京大学IRCN, A01松井班)に「多光子励起蛍光バイオイメージング」という題目でご講演いただき、2光子顕微鏡とその応用についてご紹介いただきました。

第1回領域会議を開催しました。

2024.05.10

 学術変革領域研究(A)「脳神経マルチセルラバイオ計算の理解とバイオ超越への挑戦」第1回領域会議を開催しました。オンラインでの開催となりましたが、学術調査官・アドバイザー・領域メンバー合わせて計33名が集まり、各班のよる研究/今後の展望について情報を共有しました。また、学術調査官・アドバイザーの先生方からはこれからの研究に期待をして頂けている旨の温かい言葉をいただきました。

プログラム
11:00~11:10アドバイザー・学術調査官のご紹介
11:10~11:30領域全体・総括班について山本先生(領域代表)
11:30~12:00A02項目について山本先生、谷井先生、平野先生
12:00~12:20A03項目について正水先生、神谷先生
12:20~12:25写真撮影・休憩
11:25~12:45A01項目について香取先生、松井先生
12:45~13:05A04項目について河野先生、平田先生
13:05~13:15共通プラットフォーム拠点について山本先生
13:15~13:30アドバイザー・学術調査官コメント相原先生、根本先生、池谷先生、
細川先生、藤井先生
13:30閉会
13:30~フリーディスカッション(任意)

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