
文部科学省 科学研究費助成事業 「学術変革領域研究(A)」 2024〜2028年度
2026年8月5日に東北大学(片平キャンパス)で,米国Allen Instituteの伊藤 慎也先生をお招きし,第7回領域セミナー「微分可能な大脳皮質回路シミュレーション―解剖学・生理学・機能データの統合」をZoomとのハイブリット形式で開催しました.


伊藤先生は,機械学習モデルを用いたマウス大脳皮質のモデル構築に取り組まれています.講演では,マウスの実験で得られる多様なデータを統合するモデルの重要性を指摘されたうえで,神経活動データから脳神経回路のシナプス結合を推定する手法を紹介されました.技術的な課題として挙げられたのは,パラメーターチューニングに膨大な時間を要する点で,9ヶ月かかった例もあるというエピソードも教えていただきました.また,計算をするにあたり,GPUやメモリなどハードウェアが律速となっている現状も示されました.あわせて,SONATAフォーマットおよびBrainModeling ToolKit(BMTK)による記述形式の標準化の重要性についても教えていただきました.
質疑応答では,講演の途中で質問が飛んでくるほど活発な議論がなされました.「モザイク構造は存在するのか?」「自発活動は発生するのか?」「発達の過程を再現することはできるのか?」など様々な観点からモデルの有用性が議論されました.講演を聞いて,脳を理解するためには,実験とそれを説明するためのモデルが不可欠であることを実感できる,大変有意義な講演でした.
(文責・A02-1 大学院生 門間 信明 (東北大学))

