バイオ超越 - 脳神経マルチセルラバイオ計算の理解とバイオ超越への挑戦

文部科学省 科学研究費助成事業 「学術変革領域研究(A)」 2024〜2029年度

活動報告

2026年

第6回領域会議を開催しました。

2026.04.14

 2025年度の活動報告、および今後の課題について議論することを目的として、第6回領域会議を開催しました。今回は東北大学東京オフィスとZoomのハイブリッド形式で開催しました。多数の領域メンバーやアドバイザーの先生にご参加いただき、活発な議論が行われました。

 会議では計画班メンバーの研究の進捗発表に加え、公募班のメンバーであるA03班の相澤先生、A04班の田畑先生、A02班の吉田先生にもご発表頂きました。動物脳の研究からロボットの研究まで多岐に渡る分野の研究について議論し、活発な質疑応答や意見交換が行われました。また、領域内で様々な連携・共同研究の成果が出始めていることが共有されました。さらに、アドバイザーの根本先生、合原先生、堀尾先生、池谷先生、細川先生から、領域の益々の発展に向けたご助言を賜りました。

応用物理学会春季学術講演会でシンポジウムを開催しました。

2026.03.23

 2026年3月17日に東京科学大学で開催された第73回応用物理学会春季学術講演会において、シンポジウム「バイオ・エレクトロニクス・フォトニクスの融合によるニューロモルフィックコンピューティング(Neuromorphic computing at the convergence of biology, electronics, and photonics)」(オーガナイザー:山本、砂田)を開催しました。

シンポジウム「バイオ・エレクトロニクス・フォトニクスの融合によるニューロモルフィックコンピューティング」

当日は、各分野の第一線で活躍する研究者8名を招待講演者として迎え、さらに一般講演3件を含む計11件の講演が行われました。講演では、領域メンバー5名が登壇しました。酒井先生(A02 公募代表)からは、柔軟バイオエレクトロニクスと多点電極アレイを用いた培養神経回路の構造制御および計測技術について発表があり、軸索や三次元神経ネットワークの機能解析に関する成果が示されました。池内先生(A02 公募代表)からは、オルガノイド研究の概要およびBrain Processing Unit(BPU)の概念が紹介されるとともに、大脳オルガノイド同士を接続することで回路構造の機能的変化を誘導する手法や、知的機能の発現に関する結果が報告されました。香取先生(A01-2代表)からは、リザバーコンピューティングに基づく予測符号化モデルが提案され、多感覚統合やノイズ適応を実現する生体的情報処理の計算原理が示されました。酒見先生(A01-3 公募協力・信川班)からは、アナログ・インメモリ計算の数理基盤の整理に加え、非理想性を考慮した設計手法および超低消費電力AIの実現に向けた回路技術が提示されました。齋藤さん(A02-1 山本班・修士)からは、実細胞神経回路を用いたリザバー強化学習系の構築について発表があり、迷路探索タスクを通じてネットワーク規模が学習性能に与える影響が示されました。これらの講演を通じて、理論・デバイス・システムに至る階層的視点を含む、多角的な研究動向が共有されました。

会場には82名、オンラインでは33名が参加し、講演ごとに活発な質疑応答が行われるなど、分野間の相互理解を深める有意義な議論が展開されました。生体神経系の理解からハードウェア実装、計算原理に至るまでの連携の重要性が再認識されるとともに、光・アナログ技術を基盤とした低消費電力化や、生体と人工システムの相互作用を通じた新たな知能創発の可能性が示されました。(文責・砂田哲 (金沢大学)、A02-1 守谷哲 (東北大学))

会場の様子
Program
TimeTitle / Author
13:30-13:35オープニング
山本 英明 (東北大)
13:35-14:00ナノ材料を用いた物理リザバーの構築と知的システム応用の可能性
田中 啓文 (九工大)
14:00-14:25培養神経回路網を理解するための柔らかいバイオエレクトロニクス
酒井 洸児、山田 康博、田中 雄次郎、後藤 東一郎、高橋 陸、水野 陽介、大友 泰輝、稲垣 卓弘、稲葉 謙介、田中 あや (NTT 物性研・NTT BMC)
14:25-14:50軸索配線を介した大脳オルガノイドの機能向上
池内 与志穂 (東大)
14:50-15:15リザバーコンピューティングに基づく予測符号化モデルによる多感覚統合とノイズ適応型神経計算
香取 勇一 (はこだて未来大)
15:30-15:55光発振器ネットワークを用いた組合せ最適化と脳型情報処理への展開
稲垣 卓弘、稲葉 謙介、山田 康博、本庄 利守、生田 拓也、米津 佑哉、風間 拓志、圓佛 晃次、梅木 毅伺、合原 一幸、武居 弘樹 (NTT物性研)
15:55-16:20無線通信システムにおけるリソース選択問題へのレーザカオス意思決定の応用
長谷川 幹雄 (東京理科大)
16:20-16:45クープマン作用素によるニューラルネットワークの線形化と応用
大久保 潤 (埼玉大)
16:45-17:10超低消費電力AIを実現するアナログ・インメモリ計算の数理基盤
酒見 悠介 (千葉工大・東大)
17:25-17:40リザバー計算に基づく強化学習モデルの実細胞実装
齋藤 新、山本 英明、香取 勇一、門間 信明、佐藤 茂雄、平野 愛弓 (東北大)
17:40-17:55再構築可能な入力機構を備えたオンボード非線形アナログネットワークの高速機械学習機実装
広井 賀子、千葉 天翔、松永 大輝、後閑 哲也、田島 凛也、アンテサナ アンドレ (神奈川工科大・慶應義塾大)
17:55-18:10光超次元ベクトル生成に基づく脳型コンピューティング
岩田 卓也、新山 友暁、砂田 哲 (金沢大)
18:10-18:15クロージング
砂田 哲 (金沢大)

日本生理学会大会でシンポジウムを開催しました。

2026.03.16

 2026年3月10日-12日に新宿の東京医科大学で開催された第103回日本生理学会大会において、シンポジウム「From in vitro to in silico: a cross-layer approach of neural circuit research(インビトロからインシリコへ:神経回路研究の階層超越的アプローチ)」(オーガナイザー:神谷、山本)を開催しました。

まず山本さん(領域代表)が、階層超越的な分野融合によるバイオ超越への挑戦を目指す本領域とシンポジウムの趣旨を紹介し、引き続く講演では領域メンバー5名が登壇しました。平野さん(A02-3代表)、木村さん(A04-1河野班・修士)、Noèさん(A02-1山本班・佐藤研博士)、平田さん(A04-2代表)、神谷(A03-2代表)が、人工膜と人工神経細胞回路の再構成と機能解析、シリコン神経模倣回路での脳型情報処理構築の最前線、リカレントニューラルネットの学習則の解析、予測的眼球運動の解析と感覚運動変換モデルのロボット実装に向けた挑戦、神経情報のエネルギー効率性の理解を目指した軸索記録と数理モデル解析の融合、など、多岐にわたる独自の切り口からの研究を紹介しました。会場を訪れた多くの参加者からも活発な議論が繰り広げられ、現在の神経回路研究の現状を俯瞰し次世代に向けた研究展開を予測する機会になりました。

なかでも、3名の計画班代表に交じって発表した若手メンバーの木村さん(修士)とNoèさん(博士)の講演が印象に残りました。最新のデータを異分野の聴衆にわかりやすく伝える二人の若手研究者の発表は見事なものでした。これまでの研究の限界を突破し超越していくには若い世代のパワーこそが必要と考えられますが、この意味で、若くて熱い本領域メンバーが今後ますます盛り上げてくれることを確信しました。

なお、本シンポジウムは平田さん(A04-2代表)の推進するJST CRESTマルチセンシング領域「空間識の幾何による重力覚解明と感覚拡張世界創出」と共催で行われました。この場をお借りして、ご支援ご協力に深謝いたします。
(文責・A03-2 神谷温之(北海道大学))

Program
TimeTitle / Author
8:50-8:55Introduction
H. Yamamoto (Tohoku Univ.)
8:55-9:15From neuronal circuits to membrane molecules: Reconstitution and functional analysis across scales
A. Hirano-Iwata (Tohoku Univ.)
9:15-9:35Silicon neuronal network as a basic tool for analysis by construction
N. Kimura, T. Kohno (Univ. Tokyo)
9:35-9:55Biologically inspired approach to training recurrent spiking neural networks
D. Noè, H. Yamamoto, Y Katori, S. Sato (Tohoku Univ., Future Univ. Hakodate)
9:55-10:15 Adaptive sensorimotor transformation by an artificial cerebellum toward real-world predictive machine control
Y. Hirata (Chubu Univ.)
10:15-10:35Unraveling energy efficiency of axon code with subcellular recording and simulation
H. Kamiya (Hokkaido Univ.)
10:35-10:40Conclusion
H. Kamiya (Hokkaido Univ.)

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